基礎代謝だけでハンガーノックになりそうな環境で早12時間が経過した
幸いオシッコに混じる血はどんどん薄くなっていき、トイレへの送り迎えも解除された
こうなってしまうともう、ね、何?帰って良いですか?状態
脇腹にうっすら残る痛みだけで、心身共に絶好調である
唯一のストレスは「空腹」のみである
仕事は、、、、w
夕方、仕事を終えた奥様が着替えやスマホの充電ケーブル等を持って見舞いに来てくれた
ワイ「ハニィっ!!カロリー!カロリーはどぉしたっ!?」
奥様「入院してる人間は病院から出される食事以外は食べたらだめなんよ」
救急搬送編でお察しの方もいるであろうが、奥様はバリバリ現役の看護師である
ワイ「いいか、聞いてくれ!2時間ローラー乗ると、軽くても1,000kCalは消費すんのね」
ワイ「補給なしで朝飯がお粥、咀嚼に使うエネルギーで収支はマイナスだ」
ワイ「昼飯は蕎麦、食べ応えも無いし、エビと思しき天ぷらは干物だった」
ワイ「血糖値をアゲたい、俺は病院で餓死する、、、、」
奥様「・・・・・・伏せ目」
ワイ「・・・・・・遠い目」
奥様「ちょっと散歩に行こう」
と、私を連れ出した
向かった先は病院内のコンビニの前
奥様「私はトイレに行ってくるから」
と2,000円渡された
全俺が泣いた、神の存在を再認識した瞬間であった
コンビニに並ぶ商品が七色の光を発している
こんなに食というモノにときめきを感じたのは初めてだ
お釣りは数十円しか無かった
12時間超の空白と空腹を埋めるべく
2,000円という枠内で満腹中枢を満たし、血糖値をアゲられるであろうモノを買った
そして食った
コンビニ前のテーブル席で入院患者と思しき一人のオッサンが
並べた弁当や惣菜をただひたすらガッついている強烈な光景
夢にも見たくないが、奥様はきっと遠くから見ていたに違いない
ベホマと同じ効能を食事で得られたという貴重な体験ができた
あぁ、、、満たされた、、、
まもなく奥様が戻ってきた
見ないフリを決め込んでいたが、私の超満足そうな顔を見て笑っている
コミュニケーションとはお互いに気持ちを伝えあう事で成り立つのだが
あえて「言葉を交わさない」という方法もあるのだと気付いた
職業柄、進言はできないという彼女の気持ちは痛いほど伝わったし
自分の欲望だけをそんな彼女に吐露してしまった反省もしている
奥様は双方をギリで立てたのである、私は本当に幸せ者だ
真夜中に大転倒して救急車に運ばれても、
酔っぱらってパトカーで帰っても、
玄関で大の字になって寝ていても、
玄関までたどり着けずに玄関ポーチの前で寝ていても、
朝の風呂場でマーライオンになっていても、
迎えに来てもらった帰り道の信号待ちの度に、ドアを開けてゲロ吐いていても、
↑余罪多め
ずっと私のそばにいてくれている
そして次の日には笑い話にしてくれる
決して試した訳ではない、これは紛れもない真実
私がバカをやる度に思うのは、奥様の懐の深さと
愛されているという実感しかないという事実である
のろけ?そうかも知れないがその言葉には何か違和感がある
似て非なるモノだが決して「のろけ」ではない
それはきっと私という存在は主語ではないのだ
例えるなら、奥様が主語であり正に太陽であって
私は地球の周りを周回する月のような関係なのだ
様は手のひらの「シワの中」で踊らされているのだ
そして私がそれを自覚しているのだ
人がカピバラを「可愛い」というのと極めて似ている
最早、キャラとして愛されているとしか思えないw
退院は近い、職場に迷惑かけた分も取り返さねば
そして何よりも奥様に感謝しつつ報わなければ
しかし、酒呑みてぇ~なぁ~
↑はい、ダメー!
緊急入院編最終話