Natural Born EZOist

チャリとオヤジと時々目玉

山をナメると

新しい靴を買うと出かけたくなる

同じように

スパイクタイヤを履かせると雪道を走りたくなる

 

人間とはそんな単純な生き物である

f:id:Ezoist:20220402211503j:plain

いつもの日の出公園、初のウィンタークライム

ロードは簡単に載せられるようになったが、まだMTBは慣れない

グラっとなってヒヤっとする、ハッとして!Goodである

 

初の冬クライムだが、下界はまだアスファルトが出ている

f:id:Ezoist:20220402211458j:plain

エッゾっ!なまらエッゾっ!

ガニャガニャガニャガニャ・・・

10m先の歩行者も振り返るスパイクタイヤの走行音

ベルは要らないかもしれない

 

3合目付近から徐々に冬道になっていく

6合目を過ぎた辺りからは完全な圧雪アイスバーンになっていた

ロードバイクとは違う高めのハンドル、上半身が起きているので呼吸が楽に感じる

極端に軽いギヤまであるので、スピードこそ出ないが確実に脚の負担は少ない

ただ、スパイクタイヤとはいえやはりアイスバーン

ダンシングをしようと腰を上げてハンドルに加重が移ると、一気にトラクションが抜けてしまう

シッティングでも軽いギヤでグイグイ回そうとすると、同様にタイヤが滑り出す

後輪にしっかり体重を残しつつ、丁寧にペダリングをしないとロスが生じてしまう

普段のライドではなかなか使わない筋肉が徐々に悲鳴を上げる

f:id:Ezoist:20220402211449j:plain

無事到着!

雪は音を吸い、道路脇の木々が風を遮る

夏に纏わりついてきた虫達は今はいない

スパイクタイヤのピンが「キシ、キシ、キシ、キシ・・・」と雪を噛む音

自分の心臓が脈打つ感覚と弾む息の音しか無い

 

まるで「この世界に自分ひとりしかいないのではないか?」という不思議な感覚に陥る

この感覚は、きっと冬チャリでしか味わえないだろう

やった事が無いので判らないが、きっと座禅を組んで「心を無にする」感覚に近い

適当な事を言っているとは思うが、本当に「無」を感じたのは確かだ

 

f:id:Ezoist:20220402211455j:plain

ボトル、凍るよな、そりゃ

晴れていて良かった

冬は特に下界とは天候が違う事がよくある

なんせこんなに景色が違うのだ、当然である

 

凌雲閣でトイレを借りて、いざ下山である

夏場でもダウンヒルはウィンドブレーカーが無いとやや寒い

風対策はしてきた「つもり」だった

完全にナメていた

 

下り出した瞬間、今までの楽しい気持ちが正に凍り付いた

 

ロード用ヘルメットは風通し抜群!

汗をたっぷり吸ったパッドは瞬時に凍結し、頭部を急速冷却!

かき氷で頭が痛くなる経験をした事がある人は多いだろう

その痛さが頭部全体に一気に来る感じである

 

チラチラと降っていた雪が

下りのスピードでは吹雪の如く顔面に刺さる

体感的に-15度以下の吹雪のようだ

 

冬用のサイクルグローブも汗が急冷されて、中の手の熱を奪い去る

登りでは特に感じなかったが、完全な防風仕様ではない

500mも走らないうちに、ブレーキレバーが握れない程に

ガッチガチに悴んでしまった

 

ウィンドブレーカーの下に着ていたアンダーウェアも良いチョイスでは無かった

休憩で完全に汗が引いた状態ではなく、風を受けての汗冷えが止まらない

ゾックゾクしてきた

 

ゴアテックスの靴もこんなに風を通すのぉ~??

足先の感覚も全く無くなってしまった

 

このままNoブレーキで下り切るか?

恐らく1kmも持たない、路肩に落ちるか、体温が落ち切る

 

「一旦、温まろう」と折り返して登ってみたものの、

一度冷えた身体は、なかなか熱を取り戻せない

「バイクから降りて歩いて下ろう」

バイクはスパイクがあるが、まさかの靴が滑り盛大にコケる

こりゃ歩く方が危ないぞ・・・

指の感覚は無い、金属製のブレーキレバーからも熱が逃げる

 

結局、バイクに跨ったまま両足でブレーキをかけながらのダウンヒル

7合目付近まで「ズリ落ちて来る」という方が正しい

完全に半べそ以上、号泣未満

命からがらの帰還である

もう汗か涙か鼻水か、付いた雪が解けたのか、まったく判別できない

 

アスファルトが見えてきた

気温も0度以上になっている、日差しが身体を温めだしている

徐々に身体の各パーツの感覚は元に戻りつつあった

ある種の「臨死体験」に近い恐怖を感じながら、無事下山したのであった

 

f:id:Ezoist:20220402211447j:plain

温かい料理に、鼻水が止まらない

Yamaichiさんでランチ&戦果報告

「あははは、ホントに冷たくなる所でしたよぉ~」と強がってはみたが

やはり「山は恐ろしい」とヒシヒシと感じていた

f:id:Ezoist:20220402211501j:plain

風邪ひくぢゃ済まされない蝦夷の山よ

ウェア、グローブ、登りのペース、休憩の仕方・・・

反省点は山ほどある

生きて帰って来れたのだから、ギリ正解だったが完全なる赤点だ

 

次に備えて装備を整えよう

晩酌をしながら、あれやこれやと対策を練る

懲りない男、奥様は呆れている

 

もう冬チャリなんてしないなんて、言わないよ絶対