私には同じ読みの「たけし」という名の友がいる
幼馴染であるとか、とても仲が良いとか、そぉいう類の友ではないが
ごくマニアックな所で趣味が合う、まぁ大きく括れば同業者である
その友とは定期的に呑み会を開催しており、その名も「たけし会」と呼ばれている
いつも2人だ、寂しくなんかモチロン無く、むしろ心地よい
「先週、生アルシオーネと並走した」とか
「ケータハムセブン160が萌えしかない」とか
「FA20のプラグ交換で魂抜けかけた」とか
他愛もない愚痴でもないが憧れも抱けない
ユル~い話をしながら黙々と酒と呑むという
知らない人がみたらきっと砂漠のごとく「無」を売りにした観光地だ
細かい規定は全く無いが、やはり「たけし」しか今後も呼べないだろう
お互いに確認はしたが、「たけした けいこ」並びに「おおたけ しのぶ」はアリと規定した
た「なぁ、たけし 最近ロードバイクに乗ってるって話ぢゃないか」
た「おぉ、たけし なかなか気持ちも良いし、運動不足にも効果的だ!この歳になって良い趣味に出会えたと思うのぜ」
た「実は俺も、かなり気になっているんだよな、ロードバイク」
た「おぉ、そうか?楽しいぞ!メカメカしいのも萌えみがツラいぜ!」
た「ただ、、金はそんなに無いから10も出せるかギリだなぁ、、、」
た「善は急げだ、明日は休みだから一緒にチャリ屋に行こうぜ!」キラッ♪
どちらの「た」の発言かは文脈から各々読み取って頂きたい
かくして翌日、二人のたけしは自転車屋へと向かったのだ
世にいう「沼」というモノに人を突き落とすのは簡単である
興味を持っている人間を淵まで道案内すれば、ほぼ100%落ちる
割りばしを袋に詰めるよりも遥かに簡単だ
決して強く突き飛ばす必要など無く、後ろから息を吹きかけるだけで良いのだ
それだけで「落ちる」
私は笑っていた、いや「にやついて」いた
もう一人のたけしの抗えない物欲に落ちていく表情を
ほくそ笑みながら眺めていたのだ
しかし、矢は思わぬ方角から私をめがけて飛んできた
「CAAD12、出たよ なまら走るよぉ~♪」
と私の前に一台のロードバイクを連れて現れた店長
いや、俺じゃない!こっちのたけしだ!
しかしその個体、まじまじと見ると
まずはブラック、CAAD8と同じである
これは奥様に「バレにくい」という可能性を大いに秘めていた
否、可能性しか感じなかったと言っても過言ではなかろう
しかもコンポは105、11速だし、ホイールもMAVICアクシウム
ちょいちょい走るようになってから、雑誌も読むようになった
コンポの知識も追いついてきた、新たな物欲が沸いてきていたのだ
「やはり11速は憧れるぜ、、、」「ホイールも替えてみたいな」
10数万はかかるのもすでに試算済みであった
CAAD12よ、、、そうか、20万か、そうだよな
手元にある1年乗ったCAAD8、振り返るともう一人のたけし
閃いてしまった
た「こいつ、5万でどうだ?ヘルメットとか買っても10万でお釣りくるぜ」
た「ふぁ?そら助かるが、たけしお前はDoすんね?」
た「コンポを105にしてホイール買ったって事にして、コイツにする」
た「、、、、遠い目」
た「、、、、涙目」
クロスバイクにしなくても1年で代替しちまったぜ、店長www
帰り道に気付いた
沼に落ちたのは私だった事を
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to be continued